シナリオの考え方をいつまでも-名残惜しいシナリオ教室一般部門最終回

早いものでもう6回目、今年最後となる大前玲子シナリオ教室一般部門が9月16日に行われました。

全体を通し、作品がひとりよがりになっていないか、脇役ではなく”主人公”が描かれているか、同じことを二重に言ってはいないか、1行目からドラマが展開しているかなど、ここでもう一度見直したい大事なポイントを振り返り、それぞれの作品の紹介に移りました。

これが最後の機会だからと、今回初めて自作のシナリオの内容を発表した人たちも。
「どうしたら人前で発表するときに緊張しないんでしょう?!」という切実な問いに対し、参加者から「息を吐きながら、手のひらの真ん中をぎゅーっと押すといいわよ」という意見が上がり、それはいい!と急遽皆でやってみる場面もありました。

講義を終えた大前先生は、「皆さんが楽しんで下さっていたのが伝わってきて、こちらもすごく楽しかったです。コンクールにはぜひ応募してください」と、いつもながらのエネルギッシュで愛情いっぱいのチャーミングな笑顔で締めくくってくれました。

「厳しい先生と聞いていたんですが?」と尋ねると、まだまだ6回だけだし…というご様子。「まずはシナリオが面白いということをしっかりわかってもらうこと。それがわかれば、もう抜けられなくなります。一生書く人もいます。シナリオを書くことは、自分の心をさらけ出すこと。さらけ出すと楽になります」。
シナリオの考え方は、一度身につけると生きていく上でずっと役に立つようです。自分やいろいろな出来事を客観視して、何かと面白がるようになります。

「何もないより面白い方がいい、人間万事、塞翁が馬」と言う大前先生。先生自身の人生も、聞くとハプニングとどんでん返しだらけでドラマのよう。ぶつかってもそれによって本音を知り合える、というのは、シナリオだけでなく実生活にも通じる思いのようです。

大前先生がシナリオの世界に入ったのは、もとはと言えばご主人への突然の余命宣告(実は誤診?)がきっかけだそう。主婦業から一転、仕事を得るために資格試験の勉強をしていたころ、お子さんに絵本を読み聞かせていて、ふと「これ、私でも書ける、そっちの仕事の方が面白い」と思い、未経験ながら物語を創作。さっそく出版社への持ち込みを敢行するも、どこからも拒否されてしまったそうです。
なぜ駄目なのか知りたくて、友人のつてで人に見てもらうと「シナリオをやりなさい」と言っていたとのこと。その翌日、目に飛び込んできたのがシナリオセンターの新聞広告。連絡し「すぐに来なさい」という返事に舞い上がって、(実は年中募集していたのだそうですが…)入学を決意。

シナリオの勉強を重ね、ついにシナリオライターになったと大喜びしたその日、(実際は企画書を書く仕事を回してもらっただけでライターになったというのは勘違いなのですが)ご主人から海外赴任の話が…。「私は海外にはついていかない。その間に、絶対にプロになるから」と懇願し、その発言通り、ご主人が帰国する4年半ほどの間にプロになったのだそうです。

受講生一人一人の人生も、聞くと多種多様で、シナリオに挑戦すると一つとして同じ内容にならないのが面白いところ。それぞれが書いてきたものを発表したり、お茶の時間に談話することで、次第に親密な空気ができていたところでした。

講義の内容が有意義だったのはもちろん、もう終わるのは寂しい、もっといろいろ話したかったという声が多く、願わくば受講生の誰かの作品が大賞に選ばれ、その暁に祝賀会(&残念会)をしましょう!と、飲み会の場を自主的にセッティングしてくれた人も。

 

シナリオコンクールの応募締め切りは10月6日です。
これまでに頂いた応募に関する質問をもとに、HP上にQ&Aコーナーを追加しましたのでご一読ください。

シナリオ教室に参加された方も、参加されなかった方もどしどしご応募ください!

アドバイスを生かして-シナリオ教室一般部門第5回目

映像クリエイターの募集が8月末で終了し、全国各地から集まった多くの応募者の書類選考が始まった9月。
2日土曜日には、2週間ぶり第5回目となるシナリオ教室《一般部門》が開かれました。

前回までの復習に始まり、親近感の湧くキャラクターについて、全体の構成についてなど、シナリオ作りにとってとても大事な講義が急ピッチで進みました。

電話をするシーン、メールのシーンなど、具体的な書き方についての質問も上がり、やまなしシナリオ教室のスタッフも教室を巡って個別の質問に答えます。

シナリオ作りに取り組んでみると、細部がどんどん膨らんで枚数が過ぎてしまう、ヘビーな内容とコメディタッチの2つの構想があるけれどどうするか、などいろいろな迷いや悩みが出てくるようです。

各自が書いてきたシナリオやあらすじを発表し、それに対して大前先生が即座にアドバイスをするのを聞いていると、講義の中で先生が伝えたかったことが実際にどういうことなのかが徐々に感じられてきます。

誰と誰の関係性のドラマなのか。対立があると、それぞれの思っていることを表しやすいこと。20分の映画なのでメインのキャラクターを早めに出して展開させることなど、言われてみるとなるほど!とということばかりです。

以前発表した構想を元に、一気にシナリオを完成させて、この日全編を発表した中飯田明秀さんは、「書くのがとても楽しかったです。発表は緊張しましたが、大前先生の指摘が的確でびっくりしました。皆の発表を聞くのも、こんな感じなのかなと思ったり、刺激を受けたりしてとても役立ちます。シナリオを書くのは初めてなので、一人でやっていたらここまでできなかったと思います」と話していました。

自作のシナリオを大前先生に提出して、丁寧で有意義なコメントを書いてもらい、次に繋げる意欲を燃やしている人もいました。

シナリオ教室も残すところあと1回、シナリオコンクールの応募締め切りまで約1ヶ月です。北杜を舞台としたたくさんの素敵なシナリオが出来上がるのが楽しみです!

→シナリオコンクール応募要項