
「オオムラサキと図鑑くん」の4日間のロケが北杜市各所で行われました。
初日から2日目前半にかけては、緑豊かな北杜市オオムラサキセンターでの撮影です。


新型コロナウイルス感染症対策を万全にするため、スタッフの数を絞り、抗原検査や体温測定、消毒などに励みます。

メインキャストの大村咲を演じる中村結愛ちゃん。役に合わせ、髪をカットして臨みました。ロケ現場の慌ただしいムードに負けることなく、表情が決め手となる演技も落ち着いてしっかりと決めていきます。

もうひとりのメインキャスト、笹崎直樹役の島田周くん。終始、元気いっぱいのムードメーカーです。状況を捉え、撮影となると瞬時に役に入る切り替えぶりには目を見張るものがあります。
4日間だけで奇跡的に撮影を完了できたのは、メインキャストの2人の集中力が大人たちをグングン引っ張っていったからだという意見もありました。

北杜市オオムラサキセンターの現役スタッフ、細田楓さんには、生き物に関する指導だけでなく出演もしていただきました。特に声が素敵だと評判です。

広いセンター内のいくつもの場所で撮影し、スタッフ全員の脚が最もパンパンになったのが初日。「撮影がこんなに過酷なものだとは!」と言う周くんも、夜のシーンまで頑張りました。プロの映像カメラマン藤原秀夫さんの指示による美しいライティングが効いています。

2日目はエキストラの方々にもお越しいただきました。

あいにくの雨で傘を差したり閉じたりを繰り返す状況でしたが、「普段できない経験ができて楽しかった」「主役の演技が上手ですごいと思った」などの感想が聞かれました。
萌木の村では、ソフトクリームを食べ、メリーゴーランドに乗るシーンの撮影がありました。「メリーゴーランドに乗ったのは小さい頃以来。思ったより上下してすごく楽しかった」と結愛ちゃん。チョコレート専門店のソフトクリームの美味しさには感激し、後に何度も走らなければならないハードな撮影の際、ソフトクリームの味を思い出して微笑みを作ったそうです!

2人は、何年も前から共に舞台に上がってきた演劇仲間です。結愛ちゃんが目に涙をたたえ、悲しみをこらえるシーンも息ぴったり。女の子ならではのセリフも、周くんが相手なら「まあ言えるかな」という安心感があったそうです。
雨による予定変更を余儀なくされた3日目。今回初めて助監督を任され、準備の段階からずっと奮闘してきた中澤裕介さんは、小海線の線路近くのシーンで「電車が来る時刻に合わせてうまくキュー出しができるかどうかが、一番緊張しました!」と話していました。

松永監督と話しているのは、前作の「虎をかぶりて、駆けてく」でヒロインの相手役を演じた内田雄元さんです。今回も、市役所職員の姿からブルーベリー農家を模した青いつなぎに着替え、少しだけ出演していただきました。
「前作は市外の人たちにも観てもらい、風景がすごいなどと好評をいただきました。今回も自分が出るのは恥ずかしいですが、お役に立てるなら」とナチュラルな演技を見せてくれました。

お手製のもんぺを履いて、気合いのこもった手ぬぐいの柄を見せてくれているのは、消防団役の中山由季さんです。楽しく演じてもらっただけでなく、漫画家でもあることからこの映画の絵コンテも作成していただきました。

ポーズを決めているのは、もう1人の消防団役、大森たつしさんです。マリンバ奏者であり、清里フィールドバレエの舞台で踊りも披露する芸達者な大森さん。アドリブも完璧です。「普段、観客の様子を感じながらパフォーマンスをしているので、観客が身近にいないこのような撮影は初めて。でも主役の子達が演じるのを先に少しだけ見ることができたので世界観に入っていけたように思います」。
この映画に対しては、「北杜について、景観など一部分を切り取ったものはあっても、自然や動物、そこに暮らすいろんな人の関わりまで詰まったものはなかなかないと思う。短い中に全部が詰まった縮図のよう」と話していました。

雨が降らない日がなかったロケですが、最終日、清里の牧場でののびのびしたカットのために現場入りすると、奇跡的に明るい日差しが出てくるから不思議です。

牧場主の吉田志麻さんにも出演していただきました。志麻さんの笑顔のもとで動物たちと触れ合っているうちに心がほっこり和み、自然と柔らかい表情がこぼれます。

最後は小学校のシーンです。ドローンも使い、いろいろなアングルから撮りました。

教室の壁には、関係者に持ち寄ってもらった書道や絵、長坂小学校からお借りした掲示物などを貼り、雰囲気を演出しています。

感染症予防対策に気を使い、しかも時間内に撮り終えるために、楽しみながらも全員が集中して取り組みました。

撮影を通じて、「学校が違う人とも仲良くなれた」という意見も。先生役の百千若さんを中心に次第にまとまっていき、最後にはまるで本当のクラスの仲間のような一体感が出来上がっていました。

全ての撮影を終え、キャストに記念品が手渡されました。カメラマンの藤原さんは、「皆さん本当に頑張ってくれました。心から感謝しています。ぜひ上映の機会を多く作ってもらって、皆さんの努力の成果が生きていることを世に示してもらえたら」と話していました。

今回は打ち上げの宴も開けない状況ですが、松永監督は皆の頑張りに対してねぎらいの言葉をかけ、「この映画はある意味、北杜の”今”のドキュメンタリーでもあると思います。10年くらい経ってそのことを振り返るときも来るのでは」と感慨深い表情で語っていました。

濃密な4日間、本当にお疲れ様でした!映画の完成上映会は、2021年11月23日、八ヶ岳やまびこホールで行う予定です。
また後日、オオムラサキセンターでも上映することを計画中です。どうぞお楽しみに!!