短編映画「虎をかぶりて、駆けてく」のロケが終わり、撮影した映像の編集作業が進行しています。この編集段階で、映画の良し悪しはまたひとつ大きく変わるのだそうです。
邦画の大御所・市川崑監督から厚い信頼を寄せられた編集のプロ、長田千鶴子さんに手腕を振るって頂いています。贅沢ですね!
ロケ現場にいた人が映像を見ると、あの時はこうだったとか、あのことがあってこうなった、といった裏事情がすぐに頭に浮かびますが、そういった先入観がない視点で、純粋に観客を楽しませる一編の作品に仕上げていくのが編集の仕事。長田さんの長年の経験から来る鋭い判断力が光ります。
この日は、監督が未完成のラッシュを見る日。映像のつなぎ方の細かな点、実景の入れ方や音楽の合わせ方など、決めるべきことは山ほどあります。
音楽は山梨県出身の作曲家・ピアニストの小林真人さんにお願いすることになっています。
一番難しいのは、虎頭の舞の部分だそうです。お祭りの様子を全て使うわけにはいきません。2つの曲があり、それをどのように入れるか。観客の様子をどう挿入するか。音声をどうするか。さまざまな可能性から完成形を探ります。
普段とは異なる特設の仕事場で、いつもは使用しないソフトでの作業に果敢に取り組む長田さん。ちょっとした機器操作のトラブルがあると、それだけで時間がどんどん過ぎていってしまいます。
それにしても連日の長時間の作業にも関わらず、淡々として集中力が途切れる様子がありません。 体に染み込んでいるその仕事への姿勢を目の当たりにするだけでも、プロのかっこよさがじわじわと伝わってきます。
4日間という非常に短期間のロケで撮った映像素材。シーンの繋ぎを考えると、これが欲しい、あのカットを使いたいといろいろなことが出てくるそうですが、時間が許す限り、編集の工夫はどんな風にもできるのだそうです。
より良い作品づくりを求め、労を惜しむ様子がまるでない長田さん。大変な作業がまだまだ続くのでしょうが、完成がとにかく楽しみです!